コンテンツ見本市「TIFFCOM」 「あらゆるものが映像化につながる時代」 書籍やコミックの取引を強化 11月1-3日にオンライン開催/椎名CEOと松本ディレクターに聞く
「東京国際映画祭」と併催されるコンテンツマーケット「TIFFCOM」が11月1日から3日まで、昨年に続いてオンラインで開催される。TIFFCOMは映画やテレビ、アニメを中心としたコンテンツホルダーが一堂に会し、各国からの有力なバイヤーと商談をするが、近年は完成映像以外の取り引きも始まっている。オンライン開催について、また今後のマーケットのあり方について、TIFFCOMの椎名保CEOと松本浩ディレクターに話を聞いた。
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–昨年に続くオンライン開催。前回からの変更や今年の開催について。 松本氏「昨年のオンライン開催ではスクリーニング(試写)が活発になった。リアル開催では都合を合わせてもらうのが難しかったが、オンラインは好きなタイミングで見てもらえる。そこで今年は本数を従来の20数本から100本超とした。一部作品を除き、10月25日から11月30日まで視聴できるようにもした」
「セミナーも11月1日から30日まで録画配信する。事前収録なので、ネットフリックスやヒット作『愛の不時着』を生んだ韓国企業など注目度の高い企業が登壇できる」
「一方、ミーティングツールは、他見本市でも採用するBlueJeansというビデオ会議システムに変更。スケジュールやチャットの機能があり映像を共有しやすい」
–今回のポイントは。 椎名氏「コンテンツマーケットは人との交流があってこそ新たな発見が生まれる。本来はリアルで開催したかった」
「TIFFCOMがこの時期に開催するのは東京国際映画祭があるから。今回は映画祭との連携をいっそう意識し、今年初めて、東京国際映画祭正式出品作品のなかからTIFFCOMでセールスする『TIFFセラー作品』を設定。TIFFCOM会場の専用ブースでは14作品を紹介し試写も用意する。イベントの行き来も一部で可能になる」
「今回TIFFCOMはオンラインで、映画祭はリアル開催されるが、TIFFCOMがリアル開催されると、今後この連携が活きてくるのではないか」
–現在は原作となる書籍やIP(知的財産)の取引が活発。TIFFCOMはこれにどう取り組んでいるのか。
松本氏「数年前から書籍やIPを扱う出展社が分かるよう明示してきた。同時に、今回はウェブ関連を含めた出版系の企業が3社新たに出展する。スマホ向けの『縦スクロールコミック』の会社も参加する」
「TIFCOMは完成した映像の商談会というイメージが強く、原作を売り買いする場としての認知度はまだ低いが、日本の書籍やコミックは脚本が緻密で原作力が高い。ビジネスのタネとして成立するだろうという思いは強い。実際の商談比率はまだ低く時間がかかるだろうが、制作会社などに参加してもらうと同時に、売買する商品の幅を広げることでTIFFCOMのすそ野を広げたい」
椎名氏「海外の見本市で日本のコンテンツを発信するのは、アウェイにいるようなもので大変なことが多いが、TIFFCOMは日本がホーム。TIFFCOMは映画やテレビ、アニメのマーケットだから出版は違うというのではなく、コミックの強い日本で開催されるからこそ見本市として意義があり、それが海外との差別化につながる」
「製作総予算までもう少しという作品が、確保資金とのギャップを埋めるためにピッチするTokyo Gap-Financing Market(TGFM)も、長編映画やテレビシリーズ、アジアをテーマとする。これもTIFFCOMならではの企画だ」
–動画配信が伸びるなどエンタメ市場は変わってきている。TIFFCOMが目指すところは。 椎名氏「配信市場のビジネスは伸び代が多い。今は脚本や出版、ストーリー、キャラクターなどありとあらゆるものが映像化につながる時代であり、映像マーケットが今後この市場にどう向き合うのかが重要だ」
「配信でも既存メディアでも、ビジネスとして大切なのは人との信頼であり、コンテンツマーケットとしては人が集まる場として選ばれることがポイント。日本の魅力はビジネス以外でも強い。大勢を集客できる設備があればなお人が集まりやすいのではないか」
第1回「S&D AWARDS」 工学院大学がグランプリ 新宿アトリウムに「可動式の壁」
広告・看板業界の専門誌『月刊サイン&ディスプレイ』を60年以上にわたり発行しているマスコミ文化協会主催の「第1回 S&D AWARDS」が10月22日に東京・港南の品川フロントビルで開かれた。協賛はジェイアール東日本企画とヘキサゴンジャパン。同アワードは、屋内外のプロモーション業界の振興、プレゼンスを高めることを目的に実施する新たな顕彰で、今年が第1回となる。2020年1月から21年6月までに『月刊サイン&ディスプレイ』に掲載された秀逸なプロモーションの中から「優秀・面白い・意外性あり・びっくりするような事例」を選出し、表彰した。
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最終選考にノミネートされたのは11種のプロモーションで、各担当者が登壇し、プレゼンテーションを実施した。東京都でもコロナ禍による緊急事態宣言が解除されたこともあり、プロモーションの担当者全員が会場に集った。グランプリと準グランプリは、約100人余りの来場者(関係者も含む)の投票で決定されることもあり、各担当者のプレゼンにも力がこもった。
投票の結果、グランプリには工学院大学(東京都新宿区)新宿アトリウムの『キネティック・ウォール(可動式の壁)』が選ばれ、サイン&ディスプレイ編集長の倉田大資氏から同大学教授の西森睦雄氏が表彰を受けた。
工学院大学の新宿アトリウムは、リニューアル工事が昨年春に完了し、工学・建築・情報の要素を含む最先端のデジタルアート表現の場に生まれ変わった。同アトリウムの巨大スクリーンの中央には、常設では日本初というキネティック・ウォール(可動式の壁)が設けられた。
キネティック・ウォールは、極彩色の繊細な光を放ち、立体的に動く。最新のプロジェクションマッピング装置や立体音響システムも設置され、映像・音響・照明を用いたさまざまなクリエイティブ表現をすることが可能だ。
プロジェクターは、ウシオライティングが扱っている米クリスティ製の4K対応レーザー光源DLPプロジェクター「D4K40-RGB」が1台採用され、フロント投映をしている。
大規模キャンバスに最適化された最先端のプロジェクションマッピング設備で3万ルーメンの高輝度、4K解像度を実現。ディテールまで鮮明に映し出すことができる。横16メートル×縦12.8メートルの巨大スクリーンで繊密な映像を楽しむことができ好評という。
映像や照明設備の構築はウシオライティングが担当した。コンテンツや運営を含むシステム設計はイマジカグループのピクス、音響設備はヒビノグループが担った。
リニューアルには、同大学建築学部の教員である西森教授(建築デザイン学科)が設計を務めた。
西森氏は「大学と社会の接点として、日常ににぎわいを創出するとともに、ステージイベントやライブ配信イベント、パブリックビューイングなど、さまざまな用途に活用できる。今年はロックバンドのGLAY(グレイ)がオンライン配信用にアトリウムを使ってライブ中継をした」と話す。
キネティック・ウォールは、スクリーン中央部分の壁(6メートル×4.8メートル)が凹凸に可動し、従来の枠組みを超えた立体的な映像表現が可能だ。シンプルな映像信号で制御が可能なため、アイデア次第で多様なデジタルアートを実装できる。また高品質のLEDが内蔵されており、内側から繊細に発光することで表現の幅を広げている。
今回の受賞について、西森氏は「まさかグランプリに選ばれるとは想像もしていなかった。コロナ禍も一段落し、今後さらに本格活用していきたい」と感想を述べた。
準グランプリには『静岡市プラモデル計画』が選ばれ、アオイネオン(静岡市葵区)デザインスタジオ ブルーエッグのディレクター、松尾憲宏氏が表彰を受けた。
これは静岡市による、プラモデルを活用したシティプロモーション企画で、郵便ポストをはじめ、組み立て前のプラモデルをイメージしたモニュメントがSNSを中心に話題を集めた。
松尾氏は「デジタルの時代にこのようなアナログなものが選ばれて光栄。ぜひ静岡市に来てもらい実物を見てほしい」と話した。
「地方の時代」映像祭2021 13日にグランプリを発表 14-19日に上映会など実施
吹田市、関西大学、NHK、日本民間放送連盟、日本ケーブルテレビ連盟の5者で共同主催する第41回「地方の時代」映像祭2021を、11月13-19日に関西大学千里山キャンパスで開く。
今年は新型コロナ感染予防のため、13日のプログラムはすべて受賞者および関係者の限定開催とし、14日以降は当日受付で一般参加ができる。
13日には、贈賞式、記念講演、グランプリ作品上映、シンポジウムを実施。「地方の時代」映像祭コンクール贈賞式では、「グランプリ」「優秀賞」「選奨」「奨励賞」など各賞を当日発表する。
14日(13時-15時30分)には、ワークショップ「テレビ局と高校放送部の共同制作から考える」を開き、作品として『黄葉 伍朗ちゃんがいる教室』(テレビ信州・松本深志高校放送委員会)、『テレビは何を伝えたか~松本サリン事件のテレビ報道から~』(松本美須々ヶ丘高校放送部)を上映する。
『黄葉 伍朗ちゃんがいる教室』は、半世紀近く前に高校を卒業した生徒たちが恩師を囲んで話を聞くという、「ホームルーム」の物語をテレビ局と高校放送部が共同制作した。一方、『テレビは何を伝えたか』は1996年に起きた松本サリン事件で、テレビ局はなぜ、第一通報者である被害者男性を犯人視し、誤報の訂正も遅れたのか。高校生たちがテレビ報道の在り方を問う。
パネリストは、松澤亮(テレビ信州)、西尾遥(関西大学学生)、谷原和憲(日本テレビ)林直哉(長野県松本深志高等学校教諭)の各氏。
なお、14-19日に受賞作品を中心とした参加作品の上映を予定しているが、上映スケジュールは決定次第、公式ウェブサイトの「上映スケジュール」ページに掲載される。
【日程】11月13日(関係者限定)、14-19日(一般参加可)
【会場】関西大学千里山キャンパス=第三学舎ソシオAVホール/100周年記念会館(大阪府吹田市山手町3-3-35)
【詳細】https://www.chihounojidai.jp/guide/
ケーブルワンが事例解説 地域情報アプリなど活用/CRIが災害・防災セミナー
ケーブルテレビ情報センター(CRI)は、「CRI災害・防災セミナー2021」を3つのテーマで11月8日にオンライン(Zoom使用)により実施する。
テーマ①「その時どうした! 全国屈指の『防災情報提供体制』を確立している『ケーブルワン』の『その時』を聞く」(講師:ケーブルワン取締役放送部長/前田雄次氏)は、開局当初から防災情報の提供を積極的に展開している、佐賀県武雄市のCATV局「ケーブルワン」の事例を解説する。
今年8月11-14日にかけ、武雄市周辺に発生した「線状降水帯」による集中豪雨は、武雄市の六角川流域に甚大な浸水被害をもたらした。この集中豪雨に際しても、データ放送、アプリ、YouTubeなど、さまざまなメディアを通して、住民に災害情報と復旧・復興のための情報を届けている。
中でも活躍したのがスマートフォンの積極活用で、YouTubeや専用ソフト(ケーブルワン地域情報アプリ)には多くの利用者がアクセスするなど、CATV加入・未加入者にかかわらず、24時間365日情報を提供している。
そのほかのテーマは次にとおり。
テーマ②「今、知っておきたい、『最新防災情報システム』の動向! 国・自治体が進めるSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)の概要と『SIP4Dによる災害情報の広域共有』の現状を知る」(講師:防災科学技術研究所 防災情報研究部門 国家レジリエンス研究推進センター主幹研究員/伊勢正氏)。
テーマ③「注目される防災備蓄食サービス-静岡新聞社・静岡放送の『Buddy Box』の取り組みと『Team Buddy』活動について」(講師:静岡新聞社・静岡放送 地域ビジネス推進局Team Buddyプロジェクト事務局次長/大林寛氏)。
【日時】11月8日/13時30分-16時
【参加費】CRI会員5000円、非会員1万円
【申し込み・詳細】https://www.cri-info.jp/20211020_6237.html
「IFA2022」出展者募集 15日まで早割価格で受付 22年9月 独ベルリンで開催
メッセ・ベルリン日本代表部(東京都港区)は、2022年9月2-6日にドイツ・ベルリンでリアル開催を予定している国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA2022」の出展申し込み受け付けを開始したと発表した。
11月15日まで、通常のスペース料金よりも安くなる早割(Early Bird)価格で提供している(16日からは通常価格)。
今年9月にベルリン会場で開催予定だったIFA2021は、コロナ禍の影響で中止となったが、次回(22年)は、従来規模での完全リアル開催に向け準備を進めている。業界最大級の規模を誇る同展示会は、高度化が加速するコンシューマー製品やDX(デジタルトランスフォーメーション)の最先端技術や製品が一堂に集結する。
【出展申し込み】https://b2b.ifa-berlin.com/en/exhibitors/application-ifa/
【IFA日本語サイト】https://www.phileweb.com/ifa/