● NHK技研公開 5月30日-6月2日 変形可能ディスプレーがカラー化 次世代地上波は着々進化 放送とネット統合基盤も
NHK放送技術研究所の最先端の取り組みを見せる「技研公開2024」が5月30日-6月2日の4日間、同研究所で開かれる。「技術で拓く未来のシンカ」をテーマに、「イマーシブメディア」「ユニバーサルサービス」「フロンティアサイエンス」「メディアを支える」–の4つのコーナーで展示を繰り広げる。また技研公開と同じ週の27-29日の3日間、NHK放送センターで、放送現場で開発された技術を公開する「NHK Tech EXPO 2024」も開かれる。
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注目展示の1つが「フロンティアサイエンス」のコーナーで展示される、伸縮可能なLEDディスプレー「ディフォーマブル(変形可能)ディスプレー」だ。
以前、フレキシブルディスプレーと称されていたものは、LED素子間に金属配線を使っているため、曲げたり丸めたりという1軸方向の変形しかできなかった。
これに対し、ディフォーマブルディスプレーは、ポリイミドフィルム上に作製した非伸縮のLED素子を、アクリル系ゴム素材を用いた伸縮可能な基板上にマトリクス状に形成。各LED画素間を伸縮可能な低抵抗の配線で接続することで、より柔軟でさまざまな方向に変形させることができ、かつ伸ばしても輝度が変わらず表示できる伸縮ディスプレーを実現できる。
昨年の技研公開では、単色のディスプレーを展示したが、今年はカラー化したものを展示する。0.02ミリメートルのマイクロLEDを使いながら、LED間は2ミリメートルピッチだったものがどう進化しているのかも注目される。
「メディアを支える」のコーナーでは、文字認識、顔認識など複数の要素技術を組み合わせて、映像の内容を説明するメタデータをAIで自動生成する技術を展示。「イマーシブメディア」のコーナーでは、ARグラス越しに見えるユーザー周辺の空間にニュースを一覧配置し、記事を検索・閲覧できるシステムを体感できる。
次世代地上波放送の伝送技術も着々と進化。LDM(階層分離多重)による4K、2K伝送、途切れにくい移動向け受信サービス、送信設備の省電力化、次世代地上波放送における放送番組中継用回線の伝送技術が展示される。
LDMを用いた、映像符号化方式と連携した映像伝送技術、ボリュメトリック映像制作支援技術、イマーシブメディア用音響制作ツール、光源アレーを用いた3次元ディスプレー、さらに自由視点イマーシブライブの体感デモなども用意されている。
「ユニバーサルサービス」では、ウェブベース放送メディアとして、放送とネットを統合したコンテンツ提供基盤を提案。コンテンツのメタデータや各種サービスのデータ、パーソナルデータを視聴アプリケーションごとに、放送とネットの視聴デバイスの違いを意識することなく、見たいコンテンツを簡単に見つけられる環境を示す。
偽情報・誤情報の対策として、コンテンツの出どころや制作過程などの「来歴情報」を提示する技術も展示。ニュースを対象とした手話CG生成技術も注目される。
展示以外では、30、31日、技研の今井亨所長が技研の目指す未来ビジョンについて基調講演するのをはじめ、イマーシブメディア、ウェブベース放送メディア、最新のデバイス技術について、各研究の担当者が講演する(いずれも事前収録した講演の上映)。
Tech EXPOは、現場ならでは視点から生まれた番組制作などに有効な技術を、本部11、地域6、関連団体5の全22項目を披露する。
● ケーブルメディアワイワイ 地域を活性化する活動報告/CRIオンラインセミナー
ケーブルテレビ情報センター(CRI)は、第44回オンラインセミナー(Zoom使用)を5月30日に開く。『「新しい!楽しい!すごい!」をモットーに地域活性』をテーマに、ケーブルメディアワイワイの「waiwai PLAY LAB&コネクリ延岡の取り組み」について、同社の犬童大郎氏(営業局長 兼 メディア局長)が報告する。
宮崎県延岡市を中心にCATV事業を展開するケーブルメディアワイワイは、2022年3月、延岡駅前再開発に合わせて新築されたビルの1階に3つのスタジオを備えた「waiwai PLAY LAB(ワイワイプレイラボ)」という420平方メートルの施設を開設した。
3つのスタジオにはクロマキー合成ができるバーチャルスタジオやライブ配信にも対応した最先端の機能を備え、クッキングスタジオもある。
スタジオ以外は、誰でも無料で気軽に訪れて映像体験できる場所を設置。208型のLEDディスプレーを備えたオープンスペースでは、eスポーツ大会など各種イベントを実施している。
このスタジオを地域の盛り上げに活用しようと、23年11月に「コネクリ延岡(Connect & Create NOBEOKA)」を開催。全国のクリエイターに、延岡に滞在してもらいながら映像を作ってもらおうとウェブサイトで募集をかけ、審査の結果、県内3組、県外10組を集めた。今年1月には出来上がった作品を上映する映画祭を開催した。今年も「コネクリ延岡」の第2回開催を計画しているという。
【日時】5月30日/13時30分-15時
【参加費】CRI会員4000円、非会員8000円
【申し込み・詳細】https://cri-info.jp/20240507_8111
● 全国自作視聴覚教材コンクール募集開始/日本視聴覚教育協会
日本視聴覚教育協会は、「令和6年度 全国自作視聴覚教材コンクール」(共催:日本学校視聴覚教育連盟、全国高等学校メディア教育研究協議会、全国視聴覚教育連盟、後援:文部科学省)を実施する。
このコンクールは、教材の制作技法の優劣のみを問うのではなく、なぜ、その教材が必要とされるのか、具体的な利用方法まで含めて審査することを目的としている。
それにより、学習の場で実際に役立ち、他の学校や地域などでの自作教材の企画制作・活用にも役立つ視聴覚教材の自作活動を促進し、顕彰を通して、その制作奨励と内容の充実に寄与することを目指す。
募集教材は、①ある教科・領域の単元・題材を学習したり、その学習を支援したりするための視聴覚教材、②原則として学校(幼稚園・保育所)・生涯学習施設などで実際に使用したもの、③映像教材、デジタルコンテンツ、紙しばいなど(教材の長さ・量については、記述された教材の制作意図および活用の目的などに適したものであれば、特に制限なし)。
部門は、「小学校」(幼稚園および保育所を含む)、「中学校」、「高等学校」、「社会教育」の4部門。各部門1点に最優秀賞として文部科学大臣賞が贈られる。
応募締切日は6月7日(当日消印有効)。発表会・表彰式は9月下旬を予定している。
【詳細】https://www.javea.or.jp/jisaku/youkou.html
● 第65回科学技術映像祭 各賞決定 内閣総理大臣賞 Nスぺ「関東大震災」 記録映像を最新技術で解析
優れた科学技術映像を選奨することを目的として毎年開催されている、「第65回科学技術映像祭」(主催:日本科学技術振興財団、映像文化製作者連盟、つくば科学万博記念財団、新技術振興渡辺記念会)の入選作品が決定。表彰式は4月19日に東京・北の丸公園の科学技術館サイエンスホールで開かれた。
内閣総理大臣賞には、『NHKスペシャル 映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間 前編』(企画・製作:NHK/自然・くらし部門)が選出された。関東大震災の記録映像は、混乱の中の撮影で、撮影場所や時間が不明なものが多かった。番組では、その映像を最新技術で高精細・カラー化。鮮明となった建物の形、看板、影、人の表情を手掛かりにワンカットずつ撮影場所と時間を特定した。
一級の歴史資料として生まれ変わった映像に加え、生存者の生々しい証言音声、科学的知見を駆使した再現実験などによって、百年前の巨大災害を追体験する内容となっている。
その他の入選作品は以下のとおり。
【文部科学大臣賞】▽自然・くらし部門 「ガリレオX 地衣類の世界 身近な謎多き生命体」(企画・製作:ワック)▽研究・技術開発部門「居間からサイエンス ~地球誕生の謎に迫る!地下2600キロの大発見」(企画・製作:BSテレビ東京)▽教育・教養部門「ダーウィンが来た! 生きものの不思議を解き明かせ! 子ども研究者スペシャル」(製作:NHKエンタープライズ、企画:NHK)
【部門優秀賞】▽自然・くらし部門「テレメンタリー2023 プラスチックの行方~『水の国』からの警鐘~」(企画・製作:熊本朝日放送)▽同部門「所さんの目がテン! かがくの里 フクロウプロジェクト」(企画・製作:日本テレビ放送網)▽研究・技術開発部門「フロンティア 人間の知能は作れるか ~AI 究極の知能への挑戦~」(企画・製作:NHK)▽教育・教養部門「THE MAKING(326)通販の荷物がとどくまで」(製作:日テレ アックスオン、企画:科学技術振興機構)▽同部門「日本のチカラ 口福の献立 ~お腹と心を満たす嚥下食~」(製作:山形放送、企画:民間放送教育協会)▽同部門「目撃者f リンゴ飴のこえ ~難聴って、なんなん?~」(企画・製作:福岡放送)
【特別奨励賞】▽教育・教養部門「常呂川下流域の古代文化を解く」(製作:北海道映像記録、企画:東京大学大学院人文社会系研究科附属北海文化研究常呂実習施設)
【特別奨励賞/つくば科学万博記念財団理事長賞(W受賞)】▽教育・教養部門「学校で使える理科実験 絶対に入らない瓶の中に松ぼっくりを閉じ込める方法! 松ぼっくりのびん詰め作りの方法と理由を解説しました。」(企画・製作:NPO法人教師と子どもの支援活動)
【新技術振興渡辺記念会理事長賞】▽研究・技術開発部門「ガリレオX 自己組織化 無秩序な世界から秩序を生みだす不思議なプロセス」(企画・製作:ワック)
【科学技術館館長賞】教育・教養部門▽「なぜ水星へ行くのは最も難しいのか? 全惑星へのアクセス時間比較」(企画・製作:午後正午)